介護士の採用コストはどれくらいかかるの?コスト削減するためのポイントも解説

高騰する介護士の採用コスト。

経営者として頭の痛い問題ですよね。

『一人採用するのに一体いくらかかっているのか…』

と、費用対効果に不安を感じていませんか。

実は、コスト削減をするには広告費を削ることではなく、採用後の『定着』が大事。

本記事では、数々の企業の課題解決を支援してきたプロの視点から、採用コストの相場から明日から実践できる具体的な削減ポイントまでを徹底解説します。

目次

介護士を採用するコスト

介護士の採用コストは、どの手法を選ぶかによって大きく変動します。

以下では、代表的な4つの採用方法について、それぞれの費用感を解説します1-2)

自社の状況に合った最適な方法を見つけるための参考にしてください。

求人サイトでの採用

求人サイトを利用する場合のコストは、サイトの料金体系によって大きく異なります。

一般的には、採用の成否にかかわらず掲載期間で費用が発生する「掲載課金型」が多く、数週間で20万円〜100万円ほどが相場です。

掲載課金型は、期間内に複数人を採用できれば一人当たりのコストを抑えられます。

一方で、採用が決定した際に初めて費用が発生する「成功報酬型」もあります。

成功報酬型は採用者の理論年収に応じて費用が決まるケースが多いですね。

採用に至らなくても費用がかかるリスクはありますが、多くの求職者の目に触れる機会を作れるのが求人サイトの大きな特徴です。

人材紹介会社での採用

人材紹介会社を利用する場合、採用が決定するまで費用はかからない成功報酬型がほとんどです。

コストの相場は、採用した人材の理論年収の20%〜35%程度。

例えば、年収400万円の介護士を採用した場合、80万円〜140万円の紹介手数料が発生します。

求人サイトに比べて一人当たりの採用単価は高くなる傾向にありますが、自社の希望条件に合った候補者を探し出して紹介してくれます。

そのため、採用担当者の手間を大幅に削減できるという利点があります。

費用はかかりますが、質の高い人材を効率的に探したい場合に適した方法と言えるでしょう。

無料の求人サービスを利用

採用コストを全くかけずに募集する方法として、無料の求人サービスも選択肢の一つです。

代表的なのは、国が運営する「ハローワーク」でしょう。

企業は無料で求人情報を掲載でき、地域に根ざした採用活動が可能です。

公的な機関であるため、求職者からの信頼度も高いという特徴があります。

ただし、多くの事業所が利用しているため、求人情報が埋もれてしまい応募が集まりにくいことも。

コストがかからない点は最大の魅力ですが、急いで人材を確保したい場合には、他の有料サービスと併用することも視野に入れると良いかもしれませんね。

人材派遣会社の使用

急な欠員補充などで即戦力が必要な場合、人材派遣会社の利用が考えられます。

派遣スタッフの給与に加えて社会保険料や派遣会社の諸経費が含まれるため、直接雇用するパートスタッフより時給は高めに設定されています。

また、派遣期間終了後に直接雇用へ切り替える「紹介予定派遣」の場合は、採用時に紹介手数料(理論年収の30%〜35%が相場)が発生します3)

必要な期間だけ人材を確保できる柔軟性がありますが、長期的な視点で見るとコストが割高になる可能性も考慮しておきましょう。

採用コストの計算方法

自社の採用活動が適切かどうかを判断するには、まず一人当たりの採用コスト、つまり「採用単価」を正確に把握することが重要です。

採用単価は、以下の計算式で簡単に算出できます。

採用単価 = 採用コストの総額 ÷ 採用人数

ここで言う「採用コストの総額」には、求人広告費や人材紹介会社への手数料といった「外部コスト」だけでなく、面接官の人件費や応募者への交通費といった「内部コスト」も含まれます。これらをすべて合算して計算しましょう。

この採用単価を算出することで、どの採用手法にどれだけの費用がかかっているのかが明確になります。

今後のコスト削減を検討する上で、欠かせない指標と言えるでしょう。

採用コストを抑えるポイント

採用コストを闇雲に削るのではなく、戦略的に見直すことが大切です。

広告費などの外部コストはもちろん、見えにくい内部コストの削減も視野に入れなければなりません。

以下では、今日からでも検討できる具体的な5つのポイントをご紹介します。

採用のミスマッチを防ぎ定着率を向上させる

採用コストを抑える上で最も重要なのは、採用後のミスマッチを減らし、職員の定着率を高めることです。

せっかく費用と時間をかけて採用した人材がすぐに辞めてしまっては、それまでのコストが全て水の泡となり、再び募集をかける二重の負担が発生してしまいます。

これを防ぐには、求人票や面接の段階で、施設のありのままの姿を伝えることが大切。

仕事の良い面だけでなく大変な面も正直に話し、施設見学の機会を設けるなど、入社後のギャップをなくす工夫をしましょう。

「こんなはずじゃなかった」をなくすことが、長期的に見て最大のコスト削減につながります。

自社の採用サイトやSNSを活用する

自社のホームページやSNSを情報発信の拠点として活用することも、コスト削減に大きく役立ちます。

求人媒体に依存せず、自社メディア経由で直接応募があれば、広告費や紹介手数料は一切かかりません。

日頃からスタッフの働く様子や施設のイベントなどを発信しておくことで、求人票だけでは伝わらない職場のリアルな魅力を伝えられます。

すぐに効果が出るわけではありませんが、継続することで施設のファンが増え、転職を考えている潜在層にもアプローチできるでしょう。

長期的な視点で見れば、自社メディアはコストをかけずに人材を集めるための貴重な資産となります。

職員からの紹介制度を導入する

既存の職員に知人を紹介してもらって行う採用は、費用対効果が高い手法です。

求人広告費や紹介手数料がかからず、紹介してくれた職員に報奨金を支払ったとしても、外部サービスを利用するよりコストを大幅に抑えられます。

紹介経由で入社する方は、事前に職員から職場の雰囲気や仕事内容を聞いているため、入社後のミスマッチが起こりにくく、定着しやすい傾向にあるのも大きなメリット。

「知人を紹介したくなる職場づくり」と並行して、紹介制度を整備してみてはいかがでしょうか。

国や自治体が設けている助成金制度を利用する

国や自治体が提供している雇用関連の助成金を活用すれば、採用コストの負担を直接的に軽減できます。

これらの助成金は原則として返済不要で、採用や人材育成にかかる費用を補ってくれるものです。

例えば、高齢者や障害者など就職が困難な方を雇用した場合に支給される「特定求職者雇用開発助成金」など、介護業界で活用できる制度は複数あります。

もちろん、受給には一定の要件を満たす必要がありますが、自社が対象となる制度がないか、一度厚生労働省のホームページなどで確認してみる価値は十分あるでしょう。

ハローワークなど無料の求人サービスを活用する

ハローワーク(公共職業安定所)をはじめとする無料の求人サービスでは、掲載費用が一切かからないため、外部コストをかけずに募集活動を始められます。

ハローワークは国が運営する公的な機関であり、求職者からの信頼も厚く、特に地域に密着した採用活動で力を発揮しますね。

ただ、多くの企業が利用するため情報が埋もれやすく、急募の場合には応募が集まりにくい可能性も。

そのため、他の有料サービスと組み合わせながら、採用活動のベースとして活用するのがおすすめです。

本記事のまとめ

この記事では、介護士の採用コストという経営課題に対し、現状の費用感から具体的な削減ポイントまでを解説してきました。

求人サイトや人材紹介など多様な採用手法がある中で、まずは自社の採用単価を正確に把握することが第一歩です。その上で、コスト削減の鍵は、単に広告費を削ることではなく、採用のミスマッチを防ぎ定着率を高めるという本質的な改善にあります。

自社メディアの活用や職員からの紹介、助成金の利用など、多角的な視点で採用戦略を見直すことが、持続可能な人材確保につながるでしょう。この記事が、貴社の採用コストを最適化し、質の高い人材を確保するための一助となれば幸いです。

<参考先>

1) 介護職員の人材採用にかかる単価とは?採用コストを抑える方法をご紹介. トータルケアジャーナル. https://tcy-ri.com/media/nursing-care-recruitment-unit-price/, (参照2025-10-17).

2) リクナビNEXT(ネクスト)の掲載料金表. 株式会社yell. https://r-yell.co.jp/media/recnavi_price.html, (参照2025-10-17).

3) 紹介予定派遣とは?仕組みとルール、料金について解説. ManpowerGroup. https://www.manpowergroup.jp/client/manpowerclip/employ/temptoperm.html, (参照 2025-10-18).

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