【介護職】SNS採用のメリット3選・デメリット3選!成功への運用術

「求人広告費ばかりかさんで、良い人材が集まらない…」
多くの介護施設が抱える採用のジレンマではないでしょうか。
その解決策として注目されるSNS採用ですが、メリットだけでなく炎上などのデメリットもあり、安易には手を出せないのが本音ですよね。
実は、ただ発信するだけではなく、SNS採用の特徴を踏まえたうえで運用することが大切です。
本記事では、数々の企業の課題解決を支援してきたプロの視点から、SNS採用におけるメリット・デメリットを分かりやすく解説。
あなたの会社の魅力を正しく伝え、理想の人材を引き寄せるためのおさえるべきポイントをお伝えします。
SNS採用とはSNSを活用した採用のこと

SNS採用とは、InstagramやX(旧Twitter)などのSNSを活用して行う採用活動のことです。
SNSを通じて企業側から積極的に情報を発信し、求職者へアプローチできるのが大きな特徴。従来の求人サイトに情報を掲載して応募を待つ手法とは異なります。
例えば、施設の日常やスタッフが働く様子を投稿することで、求人情報だけでは伝わらない職場のリアルな雰囲気を届けられます。
SNS発信では、今すぐの転職を考えていない潜在的な候補者とも接点を持つことが可能です。
人手不足が課題となりやすい介護業界において、特に注目されている「攻め」の採用手法といえます。
なぜSNS運用は重要なのか?

介護職採用でSNS運用が重要視される背景には、深刻な人手不足と求職者の行動変化があります。
厚生労働省のデータでは、2025年での必要な介護職員数は243万人と示されています。1)しかし、実際の介護職員数は2023年時点で約213万人のみであるとされており、必要な数に達していません。2)
介護業界は有効求人倍率が高い売り手市場であり、人材獲得の競争が激化している状況です。従来の求人サイトに情報を掲載して待つだけでは、数ある施設の中に埋もれてしまう可能性が高いでしょう。
また、求職者の情報収集の方法も大きく変化しました。
特に若年層を中心に、SNSを使って企業の口コミや職場のリアルな雰囲気を探すのが当たり前になっています。
このような状況下で、施設の魅力を直接、そして継続的に発信できるSNSは、採用活動に不可欠なツールだといえますね。
SNS運用のメリット

介護職採用にSNSを取り入れることで、具体的にどのようなメリットが生まれるのでしょうか。
ここでは、従来の採用手法にはない、SNSならではの強みを3つのポイントに絞って解説します。
コスト面から応募者との関係構築まで、幅広い効果が期待できますよ。
コストに対する効果が高い
SNS採用は、従来の採用手法に比べて費用対効果が高い点が大きなメリットです。
多くのSNSはアカウントの開設や基本的な投稿が無料で行えます。
そのため、これまで多額の費用がかかっていた求人サイトへの掲載料や人材紹介会社への手数料といったコストを大幅に削減することが可能です。
もちろん、投稿を作成・運用するための人件費はかかりますが、それを差し引いても採用コストを大きく抑えられるでしょう。
低コストで幅広い層の求職者、さらには転職をまだ考えていない潜在層にもアプローチできるため、効率的な採用活動を実現します。
会社の様子を伝えやすい
求人票の文字情報だけでは伝わりにくい、職場のリアルな雰囲気を届けられるのもSNSの強みです。
写真や動画を活用することで、施設内の様子やスタッフ同士のコミュニケーション、利用者様との心温まる交流といった日常をいきいきと伝えられます。
例えば、レクリエーションの風景やスタッフへのインタビュー動画などを投稿すれば、求職者は自分がそこで働く姿を具体的にイメージしやすくなりますよ。
こうした情報発信は、入社後の「思っていたのと違った」というミスマッチを防ぐことにつながります。
結果として、施設の理念に共感し、長く活躍してくれる人材の定着率向上にも貢献します。
応募希望者との連絡がスムーズ
SNSを活用することで、応募を検討している候補者とスムーズにコミュニケーションが取れます。
DM(ダイレクトメッセージ)機能を使えば、メールよりも気軽に、そして迅速に質問への回答や会社説明会の案内が可能です。
候補者にとっては応募への心理的なハードルが下がり、企業側にとっては選考前に候補者の人柄を少し知る良い機会になりますね。
また、投稿へのコメントを通じて双方向のやり取りが生まれることもあります。
このような応募前の段階からの丁寧なコミュニケーションは、候補者の志望度を高めることにもつながります。
SNS運用のデメリット

多くのメリットがあるSNS採用ですが、もちろん注意すべき点も存在します。
特に「炎上リスク」「運用の手間」「専門的なノウハウ」の3点は、事前に把握しておくことが重要です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
SNSが炎上してしまうリスクがある
SNS運用で最も注意したいのが、意図せぬ投稿が批判を呼び、拡散されてしまう「炎上」のリスクです。
SNSの強力な拡散力は、時にマイナスに働くこともあります。
例えば、利用者様のプライバシーに配慮を欠いた写真や、不適切な言葉遣いが含まれた投稿は、批判の対象となりかねません。
一度炎上してしまうと、施設の信頼を大きく損ない、採用活動どころか事業そのものに悪影響を及ぼす可能性があります。
こうした事態を避けるためにも、個人情報の取り扱いや言葉遣いに関する明確な運用ガイドラインを策定し、投稿前に複数人で内容を確認する体制を整えることが不可欠です。
SNS運用の手間と時間が必要
SNS採用は、アカウントを開設して終わりではありません。
成果を出すためには、継続的な運用のための時間と手間がかかる点を理解しておく必要があります。
求職者の関心を引き続けるには、定期的な情報発信が欠かせません。
投稿ネタの企画から、写真や動画の撮影・編集、投稿文の作成、そしてコメントへの返信まで、やるべきことは多岐にわたりますね。
これらの業務を既存のスタッフが通常業務と兼任する場合、大きな負担となり、結果的に更新が滞ってしまうケースも少なくありません。
SNS運用を始める前に、誰が担当するのか、どのくらいの時間を割けるのかといった運用体制をしっかりと整えておきましょう。
SNS運用のノウハウを要する
やみくもに投稿を続けるだけでは、なかなか採用成果には結びつかないのが現実です。
効果的なSNS運用には、各SNSの特性を理解した専門的なノウハウが求められます。
例えば、Instagramでは写真や動画の質が重視され、X(旧Twitter)ではリアルタイム性や共感が求められるなど、媒体ごとにユーザーに響くコンテンツは異なります。
効果的なハッシュタグの選定や、投稿する時間帯の分析といった知識も重要になってきます。
これらのノウハウがないまま運用を続けると、時間と労力をかけたのに成果が出ないという事態にもなりかねません。
社内で学びながら進めるか、専門家の助けを借りることも検討すると良いでしょう。
SNS運用のポイント

介護職のSNS採用を成功させるには、やみくもに始めるのではなく、事前の計画とルール作りが大切になります。
目的が曖昧なままでは投稿内容に一貫性がなくなり、期待した効果が得られにくいだけでなく、思わぬトラブルを招く可能性もあるからです。
具体的には、まず「どんな人材に情報を届けたいのか」という目的とターゲットを明確にしましょう。
その上で、「週に3回更新する」といった投稿頻度や、「利用者様のプライバシーには最大限配慮する」などの運用ルールをあらかじめ文書で定めておくことが重要です。
こうした準備をしっかり行うことで、炎上などのリスクを抑え、継続的で効果的な情報発信が可能になります。
本記事のまとめ

今回は、介護職採用におけるSNS活用のメリット・デメリットを解説しました。
最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
・SNS採用は、低コストで施設のリアルな魅力を伝え、採用ミスマッチを防ぐ強力なツールです。
・一方でSNS運用は炎上リスクや運用の手間が生じることも。ポイントは「誰に何を伝えるか」という目的を定め、計画的に始めることですね。
メリットとデメリットの両方を正しく理解し、戦略的に運用することで、SNSはあなたの会社にとって採用活動の大きな味方となるでしょう。
<参考先>
1)第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の将来推計について.厚生労働省.https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/pdf/service/special/content11/corner113/20230728seminar_03.pdf?utm_source=chatgpt.com,(参照2025-10-2).
2)厚労省「介護職員数の推移」 23年度212.6万人 初の前年割れ.ケアニュース by シルバー産業新聞.https://www.care-news.jp/news/kGglV,(参照2025-10-2).