看護師の採用コスト相場はいくら?紹介料を抑えるコスト漏れ対策4選
「紹介料が高騰し、採用予算がいくらあっても足りない……」
深刻な看護師不足の中、現場を支える採用担当者が抱える共通の悩みでしょう。 実は、外部に頼り切る体制から脱却し、自院の魅力を正しく発信する仕組みを整えることで、コストは劇的に最適化できますよ。
本記事では、経営課題を解決するパートナーの視点から、看護師採用コストの相場と削減に向けた4つの具体策を提案します。現状の『コスト漏れ』を解消し、理想の人材を引き寄せるための戦略を知りましょう。
採用単価と採用コストの違い

採用活動の予算を管理するうえで、言葉の定義を正しく理解しておくことは欠かせません。似ているようで意味が異なる『採用単価』と『採用コスト』について、それぞれの指標が示す内容と計算式を整理しましょう。
採用単価は1人に対する費用
採用単価は、看護師1人を雇用するために平均でいくら支払ったかを示す指標です。この数字を算出することで、利用した求人サイトや紹介会社が支払った金額に見合っているのかを判断できるようになりますよ。計算式は以下の通りです。
採用単価 = 採用コスト総額 ÷ 採用人数
たとえば、総額300万円をかけて3名の看護師を採用できたなら、採用単価は100万円ですね。この単価を把握しておけば、無駄な出費を抑えながら次回の予算計画を立てやすくなるでしょう。
自社の採用効率が市場平均と比べてどうなのかを客観的に捉えるためにも、まずはこの1人あたりの単価に注目してみてください。
採用コストは採用活動の総費用
採用コストとは、看護師を募集してから入職にいたるまでに発生したすべての費用の合計を指します。1人あたりではなく、病院全体で投じた『予算』のことだと考えると分かりやすいですね。
算出には以下の計算式を用います。
採用コスト = 外部コスト(広告費・紹介料など) + 内部コスト(人件費・リファラル謝礼など)
外部コストは紹介手数料などで、内部コストは面接対応をした師長や事務員の人件費といった目に見えにくい支出が含まれます。
すべての経費を合算したこの総額を知ることで、病院経営を圧迫していないかを正しく検証できるはずですよ。漏れなくコストを洗い出し、採用活動の全容を数字で捉えることから始めてみましょう。
看護師の採用コストは高め

病院経営において、看護師の確保は最優先事項でありながら、年々コストの負担が重くなっているのが現状でしょう。採用活動を最適化するためには、世間一般の相場と自社の状況を比較することが大切です。まずは、一般的な企業や医療業界全体と比較して、看護師の採用にどれほどの費用がかかっているのかを確認してみましょう。
企業の平均的な採用コスト
日本国内における企業の平均的な採用単価は、1人あたり約100万円前後が大きな目安となっています。リクルートが発表した「就職白書2020」の調査データを見ると、新卒採用では約93.6万円、中途採用では約103.3万円という結果が出ています1)。
一般的に、スキルを持った即戦力を求める中途採用の方が、求人サイトへの掲載料やエージェントへの報酬が膨らみやすい傾向にあるのでしょう。
業種を問わない全体の相場として、まずはこの100万円というラインを把握しておいてください。自社のコストがこれより突出して高い場合は、採用手法を見直すタイミングかもしれません。
医療職種の採用コスト
医療・福祉業界の採用コストは、他の産業と比較しても非常に高い水準にあるのが実情です。マイナビの「中途採用状況調査2018」によると、この業界の中途採用における平均コストは約208.9万円となっており、一般企業の約2倍という驚きの数字が出ていますね2)。
最大の要因は、業務に国家資格が不可欠であるため、候補者となる母集団が極めて限定的なことにあるのでしょう。人材紹介会社をメインに活用する場合、年収の25%から35%程度という高額な手数料が発生することも重い負担となります。専門性が高いゆえの『人材獲得競争』が、コストを大きく引き上げる要因です。
看護師の採用コスト
看護師個人の採用に目を向けると、1人獲得するごとに100万円以上のコストが発生することが多いです。たとえば、年収が500万円の看護師を人材紹介会社経由で採用すると、手数料(年収の20〜30%)だけで100万〜150万円の支払いが必要になります。
2020年の「病院の人材紹介手数料に関するアンケート調査」では、看護師の平均紹介手数料は約76万円と報告されていますが、これはあくまで手数料のみの額です3)。
これに求人広告の掲載費や事務担当者の人件費などの「内部コスト」を加味すれば、実際の総額は跳ね上がります。いかにして紹介会社に頼りすぎないルートを築くかが、今後の焦点となるでしょう。
看護師の採用コストを削減する方法

紹介会社への手数料支払いが当たり前になると、採用予算が多く必要になります。コストを抑えるためには、外部に頼り切る体制から、自院の力で人を惹きつける体制へのシフトが大事。
具体的な削減策として、求職者の目に留まる工夫から、定着率を高めて募集回数を減らす根本的な取り組みまで、4つの視点で整理しましょう。
魅力的な求人票を作成する
求職者が「ここで働きたい」と直感できる求人票を作ることは、採用期間を短縮し、結果的に広告費を抑えることにつながります。テンプレート通りの事務的な募集要項では、数ある病院の中に埋もれてしまい、応募が集まりにくいからですね。
たとえば、単に『有給あり』と書くのではなく『昨年度の有給消化率は平均85%で、希望休も通りやすい環境です』と数字を交えて具体化してください。給与面でも、基本給と諸手当の内訳を明確にし、電子カルテの導入状況など、現場の働きやすさがイメージできる情報を盛り込むのがコツですよ。
近隣の病院と比較した際に、自院ならではの強みが一目で伝わる内容に仕上げましょう。情報の透明度を高めることが、入職後のミスマッチを防ぐ手立てにもなります。
SNSを活用して発信する
人材紹介会社を介さずに直接応募を増やす手段として、SNSでの情報発信は非常に強力です。1人採用するごとに100万円単位の手数料が発生する紹介会社と違い、SNSは運用コストを最小限に抑えながら、広範囲の潜在層にアプローチできます。
発信の際は、代表者や採用担当者の顔が見える動画を活用し、職場のリアルな雰囲気を伝えるのが望ましいですね。仕事の合間に見てもらえるよう、真面目な解説ばかりではなく、スタッフの日常やキャラクターが伝わる親しみやすい投稿を意識しましょう。
信頼を得るためには、嘘のない情報を継続的に届ける姿勢が大切ですよ。自院のファンを増やすイメージで発信を続ければ、高額な紹介料を支払わずに済む自社ルートの確立が期待できるでしょう。
看護師の働く環境を整備する
新しい人を雇うコストを下げるために、今いる看護師が辞めない職場環境をつくりましょう。離職者が減れば、不足を補うための募集活動そのものが不要になり、求人広告費や紹介手数料をゼロに近づけることができるからです。
年功序列を廃止して、頑張りが正当に反映される人事評価制度を導入したり、ICTツールを活用して事務作業の負担を減らしたりする工夫を検討してください。また、髪型やネイルの自由度を上げるといった、個性を尊重する文化も今の時代の求職者には魅力的に映りますね。
福利厚生や教育制度を充実させることは、一見すると出費が増えるように思えるかもしれません。しかし、頻繁に採用を繰り返す損失に比べれば、既存スタッフへの投資の方が長期的にはコストを低く抑えられるはずですよ。
求人方法を定期的に見直す
一度決めた募集ルートに固執せず、定期的に費用対効果を検証し、最適な手法に切り替える柔軟性が重要です。採用市場のトレンドは常に変化しています。そのため、以前は有効だった求人媒体も、今はターゲット層に届いていない可能性も。
各媒体から『何人の応募があり、1人あたりいくらで採用できたか』を毎月算出してください。無料媒体の併用や、自院サイト内に特設ページを設けるなど、複数の経路を組み合わせてデータを比較しましょう。
もし特定の媒体で成果が出なければ、思い切って掲載を止め、別の手法に予算を配分する判断も必要です。無駄な支出を徹底的に排除する姿勢が、採用コストの最適化を助けてくれるでしょう。定期的な振り返りを習慣化して、最も効率的な方法を選択するようにしてください。
自社の看護師採用コストを最適にしよう

本記事では、看護師採用にかかるコストの構造から、具体的な削減方法までを解説しました。 重要なのは、採用を単なる欠員補充の出費ではなく、病院をより良くするための『投資』と捉え直す視点ですね。
たとえば、高額な紹介料を支払う前に、職員の知人を紹介してもらう『リファラル採用』の制度を整えるだけでも、大きなコスト減を見込めるでしょう。
まずは過去1年間の採用実績を振り返り、1人あたりの単価を正確に算出することから始めてみてください。 自院の現状を数字で可視化できれば、今取り組むべき優先順位が自然と明確になるはずですよ。
<参考先>
1)就職白書2020.株式会社リクルート 就職みらい研究所.https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2020/06/hakusyo2020_01-48_up-1.pdf(参照2025-12-21)
2)中途採用状況調査.株式会社マイナビ.https://www.mynavi.jp/wp-content/uploads/2019/03/%E4%B8%AD%E9%80%94%E6%8E%A1%E7%94%A8%E7%8A%B6%E6%B3%81%E8%AA%BF%E6%9F%BB.pdf(参照2025-12-21)
3)「病院の人材紹介手数料」に関するアンケート調査結果.独立行政法人福祉医療機構.https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/02_20201005_jinzaisyokaitesuuryo.pdf(参照2025-12-21)
