介護人材が不足する原因と対策3選!明日から実践できる工夫を伝授します

「求人を出しても応募がないし、定着もせず現場が回らない……」

日々のシフト調整や現場の負担増に頭を抱える介護施設の経営・管理層の方は多いのではないでしょうか。

悩みに対して、やみくもに採用活動を続けるのではなく、人材不足の根本原因を正しく理解し、自施設に合った環境整備を行うことでこの状況は打開できます。

本記事では、経営者の右腕として想像を超える解決策を導き出す株式会社KoeLの視点から、介護現場における人材不足の原因と、今日から実践できる具体的な対策を成功事例とともに解説します。

現状の課題を明確にし、長く活躍してくれる理想の人材を引き寄せるための戦略を知りましょう。

目次

介護人材不足の原因

介護業界で人手不足が続く理由は、単なるきつい仕事というイメージだけではありません。

少子高齢化という社会構造の変化や、現場に残る非効率な業務など、様々な要因が複雑に絡み合っています。

まずは根本的な原因を正しく把握していきましょう。

介護人材の離職率の高さ

介護業界の慢性的な人手不足は、採用した人材が定着せずに辞めてしまう『離職率の高さ』が大きな要因の一つです。

人間関係の悩みや、事業所の運営方針に対する不満が、退職の引き金になるケースが多い傾向にあります。

介護労働安定センターの”令和4年度介護労働実態調査”によると、離職理由の第1位は「職場の人間関係に問題があったため(27.5%)」、次いで「法人や施設・事業所の理念や運営の在り方に不満があったため(22.8%)」でした。給与面の不満(18.6%)よりも、職場環境へのストレスが上回っている状態です1)

経営陣への不信感やスタッフ間の軋轢を放置していると、せっかく採用してもすぐに辞めてしまうという悪循環から抜け出せなくなってしまいます。

定期的な面談を実施するなど、スタッフの小さな不満を拾い上げる仕組みづくりから始めてみてください。

需要と供給の釣り合い

根本的な原因として、日本の少子高齢化に伴う『介護ニーズの増大』と『労働人口の減少』という、需要と供給のアンバランスが挙げられます。

サービスを必要とする高齢者が増え続ける一方で、それを支える現役世代そのものの数が減っているため、人材獲得競争が激化している状態です。

厚生労働省の”介護人材確保の現状について”でも、介護サービスの需要増大に対して人員確保が追いつかず、2040年には必要人員に対して約57万人の不足が生じると予測されています2)

担い手となる生産年齢人口(15歳〜64歳)は今後さらに減少していく見通しです。

つまり、『待っていれば人が来る』という時代はすでに終わっていると考えなければなりません。

限りある人材をどう確保し、長く働いてもらうか、戦略的なアプローチが不可欠な状況と言えるでしょう。

デジタル不足の業務効率

介護現場にいまだ残る、デジタル化の遅れによる『非効率な業務』も、人手不足を加速させる要因です。

手作業での記録やアナログな情報共有がスタッフの時間を奪い、結果として本来のケア業務を圧迫して労働環境を悪化させているからです。

たとえば、日々の介護記録を手書きで行ったり、関係機関とのやり取りにFAXを使用したりしている施設は少なくありません。

また、夜間の見守りを目視のみに頼ることは、職員の身体的・精神的な負担を大きく増大させてしまいます。

こうした事務作業やアナログな業務に追われることで、スタッフは疲弊し、離職へと繋がってしまうのです。

ICTツールや介護ロボットを導入して業務をスリム化することが、スタッフの負担軽減と定着率アップへつながるでしょう。

介護人材不足への対策3選

介護現場の人手不足を解消するには、今いるスタッフの離職を防ぎ、新たな人材を継続して確保する両輪を回す必要があります。

ここでは、国が推進している方針や、実際に成功している事業所の取り組みに基づき、今日から着手できる具体的な対策を3つご紹介します。

多様な人材を確保する

新たな人材を確保するためには、採用ターゲットの枠を広げ、多様なバックグラウンドを持つ働き手を受け入れる体制を作ることが重要です。

従来のフルタイムで働ける有資格者だけを求めていては、母集団が限られてしまうからです。

たとえば、シニア層や主婦(夫)の方を『介護助手』として採用し、ベッドメイクや食事の配膳、話し相手といった周辺業務を任せるのも一つの方法です。

また、技能実習や特定技能などの制度を活用し、外国人材を積極的に受け入れる施設も増えています。

『介護職=専門資格必須』という固定観念を捨て、未経験者や短時間勤務希望者など、多様な人材が活躍できる仕組みを整えることが、安定した人材確保へつながります。

介護人材の処遇を向上

スタッフのモチベーションを維持し、長期的な定着を促すためには、給与や人事評価といった処遇の改善が必要です。

労働の負担に対して待遇が見合っていないと感じると、より条件の良い他施設や他業種へ人材が流出してしまうからです。

国が設けている『介護職員処遇改善加算』や『特定処遇改善加算』といった制度をしっかりと活用し、職員の基本給のベースアップや賞与の増額を図るといいでしょう。

さらに、金銭面だけでなく、業績やスキルを公平に評価する人事評価制度を導入し、頑張りが正当に認められる環境を作ることも効果的です。

国の補助金制度などの最新情報を常にキャッチアップし、還元できる利益はしっかりとスタッフへ分配していく姿勢が求められます。

労働環境を整える

離職を防ぐためには、日々の業務負担を軽減し、スタッフが心身ともに健康で働き続けられる労働環境を整備することが必須です。

『時間外労働の常態化』や『有給休暇が取れない』といった悪環境を放置していては、どれだけ処遇を改善しても人が離れてしまうからです。

具体的な対策として、見守りセンサーや介護記録ソフトなどのICT機器を導入し、事務作業や巡回業務の手間を削減することが挙げられます。

また、国や自治体の『ICT導入支援事業』などの補助金を活用すれば、費用負担を抑えながら業務のデジタル化を進めることが可能です。

テクノロジーの力で現場の無理や無駄を省くことができれば、スタッフは本来のケア業務に集中でき、やりがいを持って働き続けられるようになるでしょう。

介護人材不足を解消した事例

他施設がどのようにして人手不足の壁を乗り越えたのか、具体的な成功事例を知ることは非常に有益です。

ここでは、体制の見直しやテクノロジーの活用によって労働環境の改善に成功した2施設のケースを紹介します。

パートタイマーの柔軟な配置したA施設

業務が集中する時間帯に限定してパートスタッフを手厚く配置することで、現場の負担軽減と定着率アップに成功しています。

常に正社員を均等に配置する従来のシフトでは、どうしても手が回らない魔の時間帯が生まれてしまう現状がありました。

そこでA社では、食事の介助や入浴が重なる日中のピーク時に絞って、短時間勤務のパートタイマーを増員する体制へと変更したのです。

人手が最も必要なタイミングで十分なサポートが入るようになり、正社員の残業時間は大きく減少しました。

無駄な人員配置を見直し、忙しい時間帯にピンポイントで人員を投入する工夫が、スタッフ全体の離職を防ぐ結果につながっています。

ICT・介護ロボットの導入をしたB施設

最新機器をただ導入するだけでなく、事前の業務洗い出しとセットで行うことで劇的な労働時間の削減に成功しています。

やみくもにシステムを入れても、現場の運用ルールがアナログなままでは真の効果を発揮しきれません。

B社では、まずすべての介護業務をリストアップし、どこに無駄があるのかを徹底的に検証しました。

その結果をもとに、日々の記録業務をタブレット端末によるペーパーレス化に切り替え、夜間帯には見守りセンサーを稼働させたのです。

記録にかかる時間が大幅に減り、夜勤スタッフの精神的なプレッシャーも軽減されました。

現場の業務フローそのものを見つめ直し、テクノロジーと最適な形で組み合わせることが人員不足を補う最善策となります。

適切に対策して介護人材を確保しよう

今回は、介護人材が不足する原因と具体的な対策について解説しました。

最後に重要なポイントをおさらいしましょう。

・人材不足の打開には、未経験者など多様な人材の受け入れと、処遇の改善を同時に進めることが不可欠です。

・ICT機器の活用や柔軟なシフト配置は、今いるスタッフの負担を減らし、離職を防ぐ手段となります。

まずは自施設の業務フローを洗い出し、今日からできる小さな改善から始めてみましょう。

働きやすい環境づくりへの真摯な姿勢が、結果として理想の人材を引き寄せる大きな力となるはずです。

<参考先>

1)令和4年度 介護労働実態調査結果について.公益財団法人 介護労働安定センター.https://kaigo-center.or.jp/report/jittai/2023r01_chousa_01.html,(参照2026-8-29).

2)  介護人材確保の現状について.厚生労働省.https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001485589.pdf,(参照2026-8-30).

この記事を書いた人

目次